Home » 太田龍の時事寸評 » 過去記事一覧 » 第一千六百八回


英国王室を痛烈に批判するヴィクトリア朝の英国詩人スウィンバーンの詩。
そして、一九〇二年日英同盟を痛撃した内村鑑三の警告を想起する。

公開日時:2008年06月22日 21時35分
更新日時:2008年06月23日 02時27分

平成十八年(二〇〇六年)三月六日(月)
(第一千六百八回)

◯一九〇二年(明治三十五年)は、日英同盟が締結された年である。

◯この年、英国駐在の日本公使林董(はやし ただす)は、フリーメーソン
 結社員である。

 と言うことは、これまで多くの著作に公表されて居り、フリーメーソン結社
 員であると自称して居る加治将一と言うひとの著作「あやつられた龍馬」の
 四〇二~四〇五頁にも記されてある。

◯この一九〇二年は、前年、一九〇一年ヴィクトリア女王が死去したあと、
 エドワード七世英国国王の戴冠式が行なわれた年でもある。

◯このエドワード七世の戴冠式の日の前後、
 米国の作家ジャック・ロンドンは、ロンドンの貧民街イースト・エンドに
 住み込んで、ルポルタージュ「どん底の人びと」を書いた。

◯岩波文庫版「どん底の人びと」(行方昭夫訳)の第十二章「戴冠式の日」
 の初めに、スウィンバーンの詩が引用されて居る。

◯それを以下に引用する(前出、百五十六頁)。

   海と言う四方の壁によって
   海と言う壁を持たぬ国々から切り離されている汝イギリスよ。
   腐りきった王族連中を、
   おまえは未来永劫生かしておくのか。
   ミルトンの時代には共和国だった汝よ。
   未来永劫に生かしておくのか。
   汝は連中の膝を抱きかかえ続けるのか。
   王族など、蛆に食われた嘘つきで、
   汝を、嵐の下に吹きさらしに放置し、太陽の光線のように強いはずの
   汝の視線をさえぎって、
   広々とした天空に向けさせぬ張本人なのに。

    --スウィンバーン
      a.c.swinburne 1837~1909

◯アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーンは、
 レイリー、シドニー、シェリー、バイロンの時代からずっと数えて、
 きわめて僅かな、貴族階級出身の詩人の中の一人であった、とある。

◯スウィンバーンは、日本では、一般には全く知られては居ないけれど、
 少々は、紹介されて居るらしい。

◯前述のスウィンバーンの詩が、一九〇二年のエドワード七世の戴冠式の時
 に書かれたものであるかどうかは分らない。

◯略歴によれば、
 スウィンバーンの父親は、アドミラル(海軍大将)であったと言う。

◯自由放任ネオリベラリズムに猛襲されつつある日本民族は、今、改めて、
 一九〇二年と言う、この年に書かれ、一九〇三年に出版された、ジャック
 ・ロンドンの「どん底の人びと」を研究する必要があるだろう。

◯一九〇二年(明治三十五年)の日英同盟締結に際して、

◯公然、それに絶対反対!!
 の旗幟を掲げた日本の言論人、知識人は、

◯「代表的日本人」の著者、内村鑑三、ただひとり、
 であったことも、

◯今、日本人は想起しなければならない。

◯内村鑑三は、
 大英帝国は、毒に満ちた大悪魔である、日本がこの猛毒の英国と同盟すれば、
 その猛毒は必然的に、日本に伝染するであろう、と言う趣旨の警告を発した
 ことを、

◯今、日本民族は、改めて想起すべきである。

◯大英帝国が、どのように、猛毒の存在であったか、

◯そのことは、ジャック・ロンドンの「どん底の人びと」の中に、
 生々しく描き出されて居る。

 (了)

 




Write a comment

  • Required fields are marked with *.

If you have trouble reading the code, click on the code itself to generate a new random code.
 

Home » 太田龍の時事寸評 » 過去記事一覧 » 第一千六百八回